普段あまり意識しませんけど、電気って結構危険なんです。 以前、ELパネルを使って工作をしていたときの話です。ELパネルは発光素子が薄膜状に成型された薄い板状のもので、電圧をかけることによって全体がぼうっと光るものです。 EL発光のためには高電圧が必要となるようで、その部品には電圧を上げる昇圧装置がついていました。どのくらいまで昇圧してるんだろう、とテスターで測定してみると、なんと142Vもありました。元電源は9Vの乾電池でしたから、十数倍の昇圧です。 おお、こりゃ思ったより高いな。あぶないあぶない。パネルの電極にはさわらないようにしなきゃ・・・と思い、電極の近くにあった指を持ち替えました。 がしかし、そこにまたちょうど別の電極があったんですね!! 「んビビビビビビビビビ!」(確かに聞こえました。電気の音が) 貴重な体験でしたけど、もう二度としたくないなと思いました。 感電以外にも、電気を扱う機器には発熱・発火のリスクが常につきまといます。 もちろん、家庭用100V電源にも危険はあります。例えば電気ストーブの、温度コントロールする部分が壊れたりして過熱状態になると、発火して火事になる可能性だってあります。 そういうときのために、機器の中には「温度ヒューズ」という部品が使われています。この部品はある温度以上になると内部の回路を切断、電源を自動的にカットして機器の過熱を防ぐ、いわば電子部品界の身代わり地蔵。 今回のご依頼はNEC SCHOTTコンポーネンツ(株)から頂きました。気密端子、温度ヒューズなどの電子部品を開発する会社で、材料としてのガラスと金属を扱う職人芸的な匠技を特徴としています。 ご依頼の内容は、温度ヒューズがどのくらいの温度で断絶するのか、というテストをするときに使う試験機の作製で、ヒーター温度を徐々に加熱しながらヒューズの状態をモニターするという測定機器です。 温度ヒューズのテスト温度は140℃〜250℃です。250℃といえば、揚げ物の油の温度(〜180℃)も、焼肉の鉄板の温度(〜200℃)もはるかに凌駕する高温です。例えがなぜか食べ物ばかりですが、とにかく熱いということです。分かりやすく例えるならば、あの焼肉ですら遭遇したことのない未知の領域。 例によって、夜な夜な自宅でハンダ付けやらアルミ加工やらを繰り返して3ヶ月、何とか形になりました。
温度コントロールは専用のOMRON社製モジュールを使いました。RS232Cで通信してコントローラに対して指示を出すと、ヒーターの温度を自動的に目標温度になるようコントロールしてくれるそうです。すげえ。 コントローラの価格は数万円するのですが、これに指令を出しているのがPIC16F876という600円のICチップ。機械の中で下剋上がいつ起こっても不思議ではない、ギリギリのバランスで作動しているのです。 ・・・・・・・・・何を言っているんでしょうか。話を元に戻します。 実際にヒーターを接続して作動させてみました。コントロールモジュールはヒーターのスイッチを切ったり入れたりして、温度をコントロールしてます。目標の温度に近づくにつれちょっとだけスイッチ入れたり、微妙で繊細なコントロールで目標の温度にピタッと制御してくれました。おお! 200℃!!・・焼肉を焼きたい衝動にかられます。 制御装置は、自動的に温度をゆっくり上げていくと同時に、ヒューズ端子の導通状態を常時モニターしています。ヒューズがはたらいて切断すると、その時の温度を記憶して表示します。 現段階ではまだ実際の温度ヒューズでテストしてません。ちゃんと使えるものになっているか楽しみです。 |
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